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免疫が作る未来 ~バイオベンチャー紹介 vol.2 KOTAI~

 

今回は、大阪大学の研究技術が基になったKOTAIという会社をご紹介します。

 

免疫レパトア:異なるT-/B-細胞の受容体の総体

リンパ球を構成する、T細胞、B細胞はその表面に抗原認識分子であるT/B細胞受容体(TCR/BCR)を発現しています。何か抗原に出会うと免疫記憶によって1度出会った抗原を記憶しておくことができるという性質を持っています。そして、この抗原をバイオマーカーとして測定してしまえば、リンパ球がいまどういう応答に備えているのかが分かり、病気の診断や薬剤の有効性の予測に使えるのではないかと言われてきました。

 

免疫レパトア解析の課題

しかしここには大きな問題がありました。まず一つ目は遺伝子の多様性の問題です。T/B細胞受容体は遺伝子配列によって(10の12乗)通りの組み合わせがあります。2つ目は配列が個人間で共有されていないという点です。上の図のように、受容体の遺伝子の組み合わせが個人間で異なっていても同じ反応をするということが分かっていました。

そのため、誰かの配列を参考にバイオマーカーを作っても他の人には役立たないという問題点がありました。

 

KOTAIの技術・強み

 

これを解決するのがKOTAIの技術です。AIによる解析によってT/B細胞受容体の配列を分析し、その抗体を予測することで、バイオマーカーを確立しようという試みです。

 

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同社は、2016年に設立された新しい会社ですが、東京大学や国立がん研究所など有力な研究機関と提携を行っています。

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なお、RNA-seq等の受託サービスも行っています。おそらくそうした受託サービスを収益源としながら自社の研究開発費に充てているものと推測されます。