ハイドロゲルで何歳になっても歩ける世界へ
老化によって生じるさまざまな症状の一つに、膝の悩みがあります。
健康寿命を延ばし、寝たきりを防ぐためにもいつまでも健康に歩けることはとても重要です。
今回はそんな膝の悩みが解決できるかもしれない、ハイドロゲルの開発の最前線をご紹介します。
私たちが一歩踏み出すたびに、膝には体重の約2倍の負担がかかります。軟骨は長年にわたる膨大な量の圧力に耐えることができますが、治癒や修復の能力には限界があります。長年の摩耗や損傷は治療が難しく、多くの患者さんは人工膝関節の手術を10年~15年に一度受けなければなりませんでした。
そこで、人工膝関節の代替として、科学者たちはハイドロゲルに注目して、研究を行ってきました。
人間の軟骨は、何十年にもわたる激しい消耗にも耐えられるほどの強度をもっています。しかしその一方で、膝を動かすのに十分なほど柔らかくて繊細な性質を持っています。ハイドロゲルは柔らかさは持っており、軟骨の代替として最適でしたが、強度の面で問題を抱えており、実用化は未だされていませんでした。
しかし今回、デューク大学の研究者たちはがヒトの軟骨に匹敵する強度を持ったハイドロゲルを開発し、大きな業績をあげています。
デューク大学のベン・ワイリーとケン・ガルの研究チームがヒトの軟骨にかなり近いハイドロゲルの作成に成功しました。このハイドロゲルは60%が水分であるにも関わらず、強い強度を誇ります。写真のように100ポンドのケトルベルの重さにも、形を失ったり、損傷を受けたりすることなく耐えることができました。
また、オーストラリア国立大学の研究チームでは、自己修復能力を持ったハイドロゲルについても開発しています。
こうしたハイドロゲルの開発によって、高齢者の膝の悩みが解決できる未来になることが期待されています。
参考文献
Magical hydrogel mimics cartilage to promote healthspan - Longevity.Technology
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