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丸の内金融が考える不老不死へのサイエンス

老化研究のお財布事情 ~SENS Research foundation の開示資料分析~

今回はSENS Research Foundationについて、

お金に関する側面から分析していきたいと思います。

 

参考にした資料

https://www.sens.org/wp-content/uploads/2019/11/2018-SENS-990-Public-Copy.pdf

https://www.sens.org/wp-content/uploads/2019/05/SENS-Research-Foundation-2019-Annual-Report.pdf

 

結論から先に申し上げると、寄付によって3.5億円の収入があり、

研究に1.8億円ベンチャー出資に1.1億円奨学金6,000万円使用されています。

 

SENSの財源のほとんどは寄付によって賄われています。

2018年のデータでは、約3.5億円の寄付による収益がありました。

 

寄付の内訳をみると、仮想通貨からの寄付が43%と最も多いのが特徴的です。

少し話が脱線しますが、海外では、寄付文化が広く根付いているかと思いますが、そうした寄付の場面でも、仮想通貨が主流になっているのは興味深いです。

日本でもTポイントを使った寄付などができる団体もすでにあるようなので、今後こうした資金集めには仮想通貨やポイント利用が主になっていくのかもしれません。

現金での寄付については、個人からの寄付が30%で、法人からの寄付が23%となっています。

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一方で支出としても、約3.5億円が計上されています。

内訳をみると、52%が研究に、17%が教育、24%が管理部門に利用されています。

 

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研究については、SENSが施設内に研究室を持っているので、その研究運営及び研究者の雇用に1.8億円程度が充てられていると考えられます。

教育に関する出資は、主に奨学金制度の運営にかかる費用です。

SENSでは未来の科学者を育てる活動として、奨学金制度を設けているので、これに約6,000万円が使われているという計算になります。

管理部門の支出については、約8,400万円の支出のうち、6,000万円以上はSENSの職員の給与となります。SENSの開示資料を見ると、13名の職員が在籍していますが、このうち5名が週40時間勤務のフルコミット職員になります。一人あたりの給与は約1,200万円となりますが、物価の高いサンフランシスコにあることを考慮すれば妥当な金額ではないかと思います。

 

さてこれらに加えて、2018年は約1.1億円の投資にかかわるマイナスも計上されていました。おそらくこれはバイオベンチャーへの出資費用として拠出されているのではないかと想像されます。開示資料内では、バイオベンチャーに投資していることがとても詳細に解説されておりますが、帳簿上関係していそうな項目がありませんでしたので、この投資損益の部分に計上されていそうです。

 

年間3億円以上の寄付金を集めて運営されているのは一定の評価ができるかと思います。実施に、老化研究と言えばSENSと呼ばれるほど、業界内での知名度もあります。

しかし一方で、日本のiPS研究基金は2019年度で年間50億円の寄付を集めており、成長余地もまだまだあるのではないかとも感じています。

これからも老化研究の分野でもより多くの資金が集まることを願うばかりです。