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丸の内金融が考える不老不死へのサイエンス

バイオマーカー確立までは道半ば

今回は、DNAメチル化のバイオマーカーについて、その臨床開発は道半ばであるという記事がありましたので、ご紹介させていただきます。

 

参考 https://elifesciences.org/articles/58592

 

寿命のバイオマーカーの一つの候補として、DNAメチル化の測定という手法があります。エピジェネティックな変化と呼ばれる手法です。しかし、人間のバイオマーカーとしてこれを用いるにはまだ課題もあります。

 

老化のバイオマーカーとして有用であるためには、以下の4つの基準を満たす必要があります。

①その測定の信頼性が高く、また実際にその測定を実行できること

②老化に関連していること

③機能的能力、疾患、死亡などの臨床試験の項目を予測できること

④老化を標的とした治療法などの介入に反応すること

です。

そして、現在臨床研究で実験されたDNAメチル化のバイオマーカー候補はいずれも、④をクリアすることができていませんでした。

 

以下の図をご覧ください。バイオマーカー候補の5つの手法に対していずれも項目①~③はクリアしています。しかし、④については外部からの介入には反応しないという結果となり、バイオマーカーとしては不合格の状況です。

④の検証にはカロリー制限が使用されました。老化治療の方法の一つとして、カロリー制限が挙げられ、多くの動物でカロリー制限が老化を遅らせることが証明されています。しかし臨床研究において、2年間のカロリー制限をした被験者と何もしなかった被験者を比較すると、両者の間で結果に変化が出ませんでした。したがって、バイオマーカーとして必要な要素である④は未だ満たされていないということになります、

 

感想

DNAメチル化に関するバイオマーカーに関して、ヒト以外では④をクリアできるものが見つかっているのか気になりました。