未来を変えよう、科学の力で

丸の内金融が考える不老不死へのサイエンス

腸内細菌が老化のバイオマーカーに!

老化研究において、宿主がどれくらい老化したかを判定するバイオマーカーは非常に重要です。老化を改善する技術ができた場合に、実際にその効果があるかどうかを確かめるにはバイオマーカーを使用が不可欠だからです。

しかし、老化のバイオマーカーはあまり発見されていないことが現状です。

今回は、アメリカの研究グループが腸内細菌のデータ解析を用いて、老化のバイオマーカー(老化時計)を開発したというニュースをご紹介します。

 

原文: https://www.longevity.technology/microbiome-clock-has-the-guts-to-tell-your-age/

 

ハーバード大学医学部とインシリコ医学研究所の科学者たちは、腸内細菌から採取した何千もの全ゲノムシークエンシングサンプルを用いて、微生物学的老化時計を開発しました。また、この新しいツールを用いて、宿主の年齢が腸内細菌の動態に大きく寄与していることも発見しました。

腸内細菌は、免疫機能、脳の発達と活動、中枢代謝など、多くのプロセスに重要な貢献をしています。腸内細菌がどのように形成され、老化による影響を受けているかを理解することで、私たちは老化に対する理解をさらに深めることができます。

 

これら腸内細菌は、私たちの食生活、身体活動、タバコやアルコールの消費量、年齢によって影響を受けます。

腸内細菌と年齢に関する研究は、いくつかの文献で確認されていますが、老化のバイオマーカーとして利用できるほどの、一般的な適用可能性はこれまでありませんでした。

 

Insilico MedicineとBrigham and Women's HospitalとHarvard Medical SchoolのVadim Gladyshevの研究室の共同プロジェクトでは、ヒトの腸内細菌に関する13の公開研究から得られたデータを集約し、腸内細菌の相対的な豊富さのプロファイルに基づいた老化時計の開発の可能性を模索しました。

1100種以上の腸内細菌サンプルをディープニューラルネットワーク解析し、結果として得られた老化時計が出来上がりました。

この老化時計は、独立したデータセットで宿主の年齢を平均誤差5.9~6.8年で予測することができます。

研究チームが目指す次のステップは、より制御された設定で特定の細菌の老化への影響を探り、老化を促進または遅らせる可能性のある微生物を特定することです。