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離婚すれば長生きになる!?

今回は本人の特性や周りの環境と長寿の関係を調べた研究をご紹介します。

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参考文献: 

IJERPH | Free Full-Text | Environmental Correlates of Reaching a Centenarian Age: Analysis of 144,665 Deaths in Washington State for 2011−2015 | HTML

 

この研究は、2011年から2015年までのワシントン州における144,665人の死亡者データを分析した研究です。研究チームはこのデータを用いて、75歳以上の高齢者が、100歳まで生きるために効果が大きいファクターが何であるかを調査しました。

 

【要約】

研究者たちは、本人の性別、人種、教育、配偶者の有無、また本人が住んでいた近隣の生活環境レベルなどと、100歳まで生きれるかの関係について調べました。

その結果、本人の教育水準の低さ、住んでいる近隣環境の治安、その地域の経済的な豊かさ、および生産年齢人口の割合の高さが、100歳まで生きれることと正の関連がありました。また、寡婦であること離婚・別居していること、未婚であることも、既婚者と比較して正の相関がありました。

 

今回の研究で分かった驚くべき事実は、学歴が100歳まで生きることとは負の相関があったことです。一昔前の研究では、学歴と長寿については正の相関がみられることが、常識でした。しかし教育水準の向上で、1950年には25歳以上の米国人口の34.3%しか高校卒業資格を持っていませんでしたが、2000年には80%以上にまで増加しており、現在では学歴というファクターが意味をなさなくなっているのかもしれません。

 

もう一つの予想外の発見は、既婚の高齢者と比較して、未婚、未婚、未亡人、離婚・別居の人が100歳代になる可能性が高かったことです。先行研究の多くでは、結婚は離婚や未婚よりも生存期間が長いことが一貫して観察されています。しかし今回の研究では、特に75歳以上の高齢者に焦点を当てている点で他の研究とは異なります。高齢者の健康に対する婚姻状況の影響は調査されておらず、今回の発見は意義のあるものです。

 

【感想】

本研究では、学歴について4つのカテゴリー分類 (中卒、高卒、短大卒、大卒以上) をもとにしていました。修士号や博士号取得者を別ファクターで分析したり、卒業校の偏差値別などで区分していればまた違った結果が出てくるのかもしれないなと感じました。

結婚と長寿の関係も興味深かったです。筆者たちが述べているように、結婚しているほうが死亡率が低下するという研究はこれまでにもたくさんありました。高齢者の長寿にはパートナーがいないほうが良いという今回のデータが正しいとすれば、長生きするためには、若いうちは結婚生活を続けて、熟年離婚するのが最適な選択ということになるのでしょうか。なんとも、皮肉なものですね(笑)