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【第1回】バイオベンチャーのビジネスモデル ~バイオベンチャーと製薬会社~

バイオベンチャーが儲かる仕組みについて知りたいというご意見が多かったので、今回から数回に分けて、バイオベンチャーのビジネスモデルについて解説していきたいと思います。

今回はまず、臨床試験の仕組みとバイオベンチャーが果たす役割について取り上げていきます。

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まずは、創薬の流れについて解説しておきます。

まず非臨床試験として、マウスなどを用いた動物実験が行われます。

この非臨床試験をクリアできた場合、臨床試験に進むことができます。

臨床試験では、3段階の試験(Phase1~3)があります。この3段階の試験をクリアするのがけっこう大変で、よく治験の失敗で株価が連日ストップ安になるなんてバイオベンチャーも見かけます。

ちなみに試験の成功確率が一番低いのがPhase2試験です。

既存の薬と同じ効果ではダメで、既存の薬よりも良いということを示すのが大変だからです。

抗がん剤などの副作用が強い薬の場合は、健康な被験者への投与は省き、Phase1から患者さんに投与して安全性を確かめている例もあります。

 

臨床試験をすべてクリアできたら、行政機関に薬としての認可をもらうための申請を行います。日本であれば厚生労働省アメリカであればFDAに提出します。

そして、行政機関からの承認が得られれば、新薬として発売することができます。

非臨床試験から販売までの一連のプロセスは、だいたい10年程度はかかる長い道のりです。

 

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さて、こうした創薬の過程で、バイオベンチャーと大手製薬会社では役割分担がされています。

バイオベンチャーは薬の候補となる化合物を見つけてくるところに強みを持っています。

一方で、大手製薬会社はスムーズに臨床試験を進めて、新薬を販売することに強みを持っています。

従って、開発段階が進んでいく中で、両者は協力関係を結ぶことになるのです。

 

次回は実際にお金がどのように動いているか、バイオベンチャーの財政事情を取り上げていこうと思います。